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一、ジーンの都
オイラがレシェスさまに拾われたのは、砂漠の真ん中。トゥリーケ砂漠っていうところの、あとちょっとでオアシスっていうあたりだった。
うん。確かそう。
え?
トゥリーケ砂漠ってどこにあるのかって?
え? あぁ北の大陸の……あぁ今は海の下かも。
この前のあれで色々変わったでしょ? だからその時沈んじゃったかも。
この前のあれって何って?
ほら。
二匹のドラゴンが、ドーンって……。
んー? それってこの前っていえるほど最近のことじゃない? 数千年は経つ?
何だかよくわからないけど、話し続けてもいい?
全く、話の尻を押さないでほしいな。え? それを言うなら腰を折らないでほしい?
あーもう! どっちでもいいやっ!
んでー、その頃のオイラはまだ大地の気を集めるのも苦手で、自分が何だかもよくわかってなくて、あぁもうこのまま干からびて死ぬんだって思ってたら、急につまみあげられたんだ。
指先でひょいって感じで。
今よりもずいぶん小さくて、レシェスさまの手のひらに乗れる大きさだったからねぇ。
銀色の長い髪が風になびいて、重そうな外套とターバンに身を包んで、腰には細い銀色の長剣を下げてた。
生きてるようだな。って一言だけ言われたけど、返事をする気力も無くて、次に気がついたときにはオアシスの木の根元だった。
ふと、頭に手が乗せられてることに気がついたころには、少しずつ体に力が入るようになってきてたかな。ぼんやりしてたけど。
オイラもまた砂漠で干からびてるのも嫌だったし、いつから砂漠あたりにいて、何処に行こうとしてたかも思い出せなかったから、何より、レシェスさまが格好よかったから一緒に行くことにしたんだ。
オイラ、格好いいのや可愛いの好きだからなっ。
名前を訊かれたんだけど、無いって言ったら付けてくれたんだ。
リトってね。
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