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オイラ気づいたら土の中でミミズと戦いごっこして遊んだり、荒地でサソリに乗って遊んだりしててさ。
親? オイラ達ノームに親なんていないさー。親がいるとすれば、この世界を作ったやつとかだろうなぁ。
でも、オイラ、レシェスさまを見た時、何故かついて行きたいって思ったよ。
いつだったかハリネズミの子どもと遊んだ時、父ちゃんが迎えに来て、いいなぁって思ったのを思い出したんだ。
父ちゃんってこんな感じかなぁって。
そうそう。一休みした場所は、後からわかったんだけど、砂漠の真ん中、南に近いあたりにあるっていう、綺麗なオアシスだったよ。
名前貰ったのがうれしくてさー。
どんな字書くの? って訊きまくってたら、近くにあった大きな岩に名前を彫ってくれたんだ。
3文字。『レスパ』『ヘムト』『レビス』って描いてリトって読むんだよー。えっへん!
水はうまいし、レシェスさまに貰ったパンはうまいしさー。うまいしか言ってない? まぁ気にしない気にしない。
オアシスにはジーン皇国へ向かう、四足の動物に乗った立派な商隊もいた。
確か、近くで水を汲んでいたおじさんが、サンガルヘイベン共和国から鉱石を売りに来たとか言ってたよ。
ん? また何か首かしげてるなぁ。そこの鎧君。何がわかんないわけ?
ジーン皇国って、ジィンベルグのことじゃないのかって?
いや、違う違う。
ジィンベルグはこの前レシェスさまが滅ぼした人間の軍事国家でしょ?
ジーン皇国は初期の純血エルフが作った世界最初の魔法文明だよ。
たしか、一万年の栄華を極めた大王朝で、最後には人間とハーフエルフによって滅亡。
って、レシェスさまの受け売りだけど。
その中心となったのはジット・ゴストン君とレム・シー。
ジット君はジィンベルグ初代国王になって種族による格差や差別のない、理想的な国家を築きあげた。
レム・シーはジット君が亡くなった後、地底にルード公国を築いて、そこで皇女としてハーフエルフ達を治めたんだ。
まぁその辺はおいおい話すよ。
何だい? 今度は? レシェスさまがジィンベルグを滅ぼしたってとこが引っかかってる?
あぁ。だから二匹の龍のうち一匹は、レシェスさまなんだって。ほら、最初に言っただろう?
もう一匹は金色だった。
あーもう!
今思い出してもムカムカする!
こともあろうか、レシェスさまに戦いを挑んできたんだ!
マスター?
何それ。知らないねぇ。
確かラディ…なんとかって言ってたような…。どうでもいいや。
まぁ経緯は忘れたけど、なんやかんやあって商隊に同行することになって、ジーン皇国に行ったわけさ。
首都エルザの都と言ったら、今ではどこにもない姿の芸術品だったねぇ。
その少し後にオアシスあたりを中心に出来たジィンの都ほどごちゃごちゃした感じじゃなくて、綺麗だったよ。
ジィンの都も知らない? あ、そっか。北の大陸。もうエンデリア大陸そのものがないんだっけかぁ。
エルザは大きな外壁に守られた魔法都市で、あの性格さえ悪くなければいいのにっていうエルフ達が作った要塞のような不思議な街だったよ。
横から見ると壁が緩やかな坂道になってることしかわかんないんだけど、一度鳥に乗せてもらって空から見たら五芒星になってて、内側の正五角形の五つの角のそれぞれに、巨大な縦長の荒削りな水晶みたいなのが浮かんでたっけ。
何か、全部色が違ってて、それぞれに赤、青、緑、無色、黄色っぽいのがあった気がする。
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