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それでもそんな不思議な光景も、慣れるといつもの風景になるもんだからまた不思議だよなぁ。
道行く人は誰も綺麗な景色を眺めることも、見上げることすらない。
なんでも、作られてから1万年以上は経ってるって話だった。
五芒星を描いてみればわかると思うけど、エルザの都には尖った三角が全部で五つあって、トラインって呼ばれてた。
それぞれにドワーフやホビット、フェアリーとか色々。
まぁ大雑把に住み分けてた感じ。それぞれのトラインに名前があった気がするけど……、うん。おいおい話すよ。
真ん中の正五角形の区画には高慢ちきなエルフが住んでて、そのはるか上空には、目では見えない鎖だか何かでぷかぷか浮いてる王族の城があるんだか無いんだかって話。見たことないからわかんないけどな。
一番外側の先端五つにそれぞれ外部からの侵入を監視する関所があって、開放的なようで、実はとっても堅牢な都市だったね。
広さ?
あぁ、今簡単に話したけど、一個の三角…トラインが5200メンデくらいあったかな。
あ、今使われてる単位だと、4000エーテル……、え? 使われてない?
じゃあそこのちっこい女の子の背丈がたぶん1メンテくらいって考えると、それを縦400個、横13個並べて出来る四角形くらいの広さだなー。
っと、メンデはメンテを長さの単位として使う時の、広さの単位だよ。
ん? 空色君と鎧君は何が何だかな顔してるなぁ。
オイラ馬鹿だけど、レシェスさまに色々教えてもらったから、そういうの一言一句間違えないで覚えてるんだ! 偉いだろ?
そんじょそこらの馬鹿と一緒にしてもらっちゃあ困るなっ。
え? そんじょそこらの馬鹿に失礼だって? だろっ、だろっ!?
ちっこいの、なかなか話がわかるなぁ。
はっはっはっ!
オイラ達が訪れたのは、エルザ北東の三角区画で、ハーフエルフとホビットが多く住んでるところだったよ。
トーラスだったかな。名前。
ん? ちっこいのハーフエルフなのか?
ほえぇ。
ホビットとエルフのハーフエルフと、エルフの子? それじゃあ4分の1がホビットで、残りはエルフってことかい。
じゃあちっこいこと以外はほとんどエルフってことだなぁ。
え? 細工や航海術もそれなりに得意?
あぁそうそう。
ホビットの連中は、その辺が得意だって話で、もともとは海側の北西の区画に多く住んでたらしいけど、何かエルフのやつらにいちゃもんつけられて、色々あって移住させられたとか何とか言ってたよ。
んで、何やら商隊の人たちとは関所の少し前で別行動になって、オイラとレシェスさまは長い行列に並んで外壁の中に入ったんだ。
えっと、鎧君は人間? だよね?
うん。あ、いやー…その頃人間は少なかったからさー。
外壁の中に入ると、石畳の路地が続いていた。入って間もなくは両替商を始め、生活雑貨や食料品の露店が続いてて、大きな三角形の区画ってことをすっかりさっぱり忘れるくらいには、複雑な街並みをしていたよ。もちろん同じような業種の店も、一個や二個じゃなかった。
大きな通りから外れたあたりに住宅地があって、レシェスさまは両替をした後、食料を少し買って、その住宅地と商店街の間あたりに位置する野外の酒場で果実酒のカクテルを注文したんだ。
オイラもチーズと葡萄酒をいただいたけど……あの頃は渋いってしか思わなかった。
ぺっぺっぺってなって、残りはレシェスさまにあげちゃったよ。
少し小さめの椅子に座ってチーズだけもりもり食べたんだ。
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