ホウオウ

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ホウオウ

 ホウオウ様が燃えている。  民を守るために雄々しく闘ったホウオウ様の羽根が、僕たちの頭上に散る。羽根は燃え、飛び散り、町に、川に、海に落ちていった。  隣国青龍(セイリュウ)の国との戦争が始まったのは、プリュイが羽化して一年も経たない頃。  国境の川を越えてやってきたセイリュウを迎え打ち、上空で激しく争いながら川を下るように移動したホウオウ様は、最後は海の上で火柱となり、セイリュウの爪に引き裂かれた。  僕らの暮らす人里に被害が出ないように海の上で闘ってくださったのだ、ホウオウ様は最後まで我々の()り神だったと、おばあちゃんは泣いていた。 「プリュイ……」  ホウオウ様の羽根が散るたびに、幼なじみの笑顔が僕の脳裏に浮かんだ。あの羽根が、いやあの羽根が、プリュイかもしれない。僕はそう思うと居ても立ってもいられず、ホウオウ様が闘っている川岸から海へと、その姿を追って走った。  ホウオウ様が燃えながら海に消えた後、僕は砂浜で泣きながら、そこらに落ちている羽根をかき集めた。
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