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何日も考え抜いて決意したというのに、僕はプリュイの放つ不可侵の輝きに気圧され、その指先に触れることもできなかった。
その翌日、プリュイはホウオウ様の山に登り、虹色にきらめく一枚の羽根になった。
空が緋色に染まった黄昏どき、強く暖かい風が、ざあっと吹き抜けた。それが、プリュイが羽化した合図だった。
僕は泣いた。泣いて、泣いて、泣いた。目が熱で溶けるほど、腫れたまぶたのせいで世界が半分になるほど泣いて。
そうやって、人の姿をしていたプリュイの笑顔を、眼裏に焼き付けた。
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