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もしもプリュイの羽根を見つけたら、僕ならきっと分かるだろう。そんなふうに自惚れていた自分が恥ずかしかった。
焦げたり、折れたり、血で汚れ固まった羽根たち。その全てが気高い魂の結晶。純粋な愛国心の証。けれどそれらは見分けがつかず、どれもただの羽根にしか見えなかった。
この一枚一枚が、きっと誰かの愛しい人だったのに。
羽化しても死ぬわけじゃない、プリュイのお母さんはそう言った。でもあのときには、ホウオウ様がこんなことになるなんて、きっと誰も考えていなかったんだ。
痛かっただろうか。苦しかっただろうか。恐ろしいセイリュウと対峙したとき、プリュイはどんなに怖かっただろう。
優しいプリュイ。可愛いプリュイ。僕の大好きな幼なじみ。
「プリュイーーッ!!」
僕は赤い海に向かって叫び、かき集めた羽根に顔をうずめて泣いた。
守り神であるホウオウ様を失い、鳳凰の国は、戦争に負けた。
そしてその直後から、セイリュウの民による侵攻が始まったのだ。
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