一日目。始まりの訪れ

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一日目。始まりの訪れ

何か、おかしい。 漠然(ばくぜん)と、そして曖昧に、それでいながら確実に。 此処は自分の卒業した小学校。 間取りも間違いなく、見慣れた懐かしい所。 とても懐かしくて、辺りを見渡してたけれどふと気付く。 「俺……ここで何してたっけ……?……って、え?」 校舎の間取りこそは見慣れたものであるけれど、辺りは赤に染まり、校内の彼方此方から響き渡る呻き声、鼻をつく鉄の匂い。 そして記憶にある以上に低くなっている自分の声。思わず喉を抑えるが酒焼けなどは起きるはずがない。なのに声が低すぎる。 明らかに異常事態が起きている。 「何が起きたの……」 そして、己の身体にも違和感が。 自分は、これほど背丈があったか?こんなに身体が締まっていたか? 疑問は尽きない、一度気付けば問いかけ続ける。 「ダメだ……記憶が飛んでる……」 そして恐る恐る、何の血かは分からないが血に塗れた鏡を見る。見えづらいところは拭い去り、多少でも見える様に。自分の今の状況を知るために。
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