86人が本棚に入れています
本棚に追加
一日目。始まりの訪れ
何か、おかしい。
漠然と、そして曖昧に、それでいながら確実に。
此処は自分の卒業した小学校。
間取りも間違いなく、見慣れた懐かしい所。
とても懐かしくて、辺りを見渡してたけれどふと気付く。
「俺……ここで何してたっけ……?……って、え?」
校舎の間取りこそは見慣れたものであるけれど、辺りは赤に染まり、校内の彼方此方から響き渡る呻き声、鼻をつく鉄の匂い。
そして記憶にある以上に低くなっている自分の声。思わず喉を抑えるが酒焼けなどは起きるはずがない。なのに声が低すぎる。
明らかに異常事態が起きている。
「何が起きたの……」
そして、己の身体にも違和感が。
自分は、これほど背丈があったか?こんなに身体が締まっていたか?
疑問は尽きない、一度気付けば問いかけ続ける。
「ダメだ……記憶が飛んでる……」
そして恐る恐る、何の血かは分からないが血に塗れた鏡を見る。見えづらいところは拭い去り、多少でも見える様に。自分の今の状況を知るために。
最初のコメントを投稿しよう!