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「ゔぇ……夢じゃないなら何……異世界転生ならなんで元の世界に似てるの……」
一頻り吐き終われば既に動かなくなった屍を見下ろして記憶を手繰っていれば、不意に明確な意思を持った声が聞こえた。
「伊織!粗方めぼしい物集めたぞ!帰るぞー!」
「ちょ、大声あげるなよ!」
聞き覚えがある、2人の男の声。思わず振り向けば、想像した通り、記憶通りの2人がいた。
「紫月?葵?」
思わず坊然と呟くが、2人はそれを怪訝そうに見ている。
今村 紫月と、濱野 葵。
出会いはネットのSNS、ムルメルンで知り合ったゲーム仲間。
元々はSNSですごく話すようになり、通話ツールを使って通話しながらゲームとかしてて……最終的にオフ会で出会ってからはリアルの友達、所謂学校とかでできた友達のようにたまに会っては遊んでをしているほど仲のいい2人。おかげで本名で呼び合う中にもなった。
……でも2人と俺の住んでるところは離れててそう頻繁に会えるほどではないし、いつも出かける先はカラオケやゲーセン。間違っても小学校に呼んだりするとかありえない。
異世界転生ならこの2人も居るわけないのに……じゃあここは現実……?
また訳が分からず混乱する。込み上げて来る吐き気を抑え込む。また吐いたら紫月達を心配させてしまう。
何がどうなって、今があるのか記憶が無いことが気持ち悪い。
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