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目的地の家までは車で一時間半くらい。
近いとは言えないけど、日帰りもできる距離なので、主に長期休みはよく行き来していた。
それでツバメちゃんと遊んだり、お泊まりしたり。
……楽しかったなあ。
今年の夏休みもできるかな。
「ツバメちゃんの家に行くの久しぶりだねー。ツバメちゃん元気かなあ」
「元気そうよ。桜ちゃんに会うの楽しみにしてるって」
「わーい!桜も楽しみだよ。猫ちゃんに会うのも楽しみだし」
「飼うかどうかはもう一度話し合うからな」
「はーい」
車の中でお父さんたちとおしゃべり。
到着までの退屈な時間もこうしているとワクワクする。
車の窓から見える空は晴天。
なんだかいい日になりそうだなあ。
「……ん?」
そのとき。
車の外に見覚えのある姿を見つけた。
といっても車からだからほんの一瞬だったけど。
いろんな店がならぶ商店街。
学校からは少し離れた場所。
でもそこにいたのはうちの学校の生徒。
茶色い髪の、少し軟派な雰囲気のイケメン。
演劇部の二年生。
……美作先輩だ。
ラフな格好の私服を着て、誰かと一緒に歩いている。
隣の人の顔はよく見えないけど、白いワンピースを着た髪の長い人。
彼女とか?
それならデートだろうか。
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