85人が本棚に入れています
本棚に追加
私はお父さんたちの方を見る。
ツバメちゃんとの会話を聞いていたらしい二人は、少し神妙な表情で顔を見合わせていた。
でも、お父さんの顔は何か吹っ切れたようにも見える。
「……晴香、沢渡」
鼻をぐずぐずさせたナツメさんが、お父さんとお母さんに声をかける。
「いきなり相談しちゃってごめんね。お願いした私が言うのもなんだけど、無理しないでいいからね」
「ナツメちゃん……」
お母さんがお父さんの顔を見る。
「陸くん」とお父さんの名前を呼んだ。
お父さんはそれに応えるようにうなずく。
「……桜」
「は、はい。お父さん」
「きちんと家族として迎えてあげられるか?」
「え」
「生き物はぬいぐるみとは違うぞ。調子がいいときも、悪いときもある。それでも、どんなときでも、家族として支えてあげられるか?」
「……!うん、わかった!桜、ちゃんとするよ」
お父さんの言わんとしていることがわかり、私は大きくうなずいた。
お父さんは優しく微笑んで、今度はツバメちゃんへと目を向ける。
「……ツバメちゃん。その子、うちで飼ってもいいかな」
最初のコメントを投稿しよう!