前途多難な、early summer

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前途多難な、early summer

演劇部の大会は夏にある。 8月のはじめ。 まずは地区予選があり、それで優勝すると都大会、全国大会と進んでいく。 ただし敗退するとそこでスッパリ終わり。 うちの学校の場合、3年生は引退だ。 だからこそ、悔いの残らぬようより良いものを。 体育祭も終わったし、これからは夏休み返上でクラブ活動に精を出す。 ……はずなのだけれど。 その前に大きな壁。 「……じゃあ、明日からテスト一週間前になるからクラブ活動はお休みです。 わたしは、部活もっとやりたいのが本心なんだけど、テストも大切なので頑張りましょー!」 浅間先輩がそう言って腕を高くあげる。 他の先輩たちは「はーい」と返事をした。 「テストが終わったら本格的に練習するから、テスト期間中もしっかり台本は読んでおいてねー! ………テスト勉強の邪魔にならない程度に」 「はい、がんばります」 私は手にしていた台本を胸に抱いた。 大会で上演する演目。 タイトルは「星のしあわせ」。 うちの学校のOBが書いたオリジナルらしい。
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