primula【青春のはじまりとかなしみ】

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そっと撫でると気持ち良さそうにニャアと鳴く。 柔らかくて温かい。 嫌がらないか様子を見ながら体を撫でていく。 するとイカ玉は安心したようにオレにピタリと寄り添ってきた。 ……可愛い。本当に可愛い。 「……いい子だな」 そう言うと、肯定するかのように喉を鳴らした。 思わず笑みがこぼれる。 ……昔から動物、というか生き物が好きだった。 図鑑を読んだり、テレビで見たり、動物園にもよく頼んで連れていってもらった。 特に猫は特別に好きだ。 うちの両親は動物が苦手らしく、せめてオレが自分できちんと世話が出来るようになるまでは……と飼うのを了承してくれなかったから 大人になれば、高校生になれば、……いや中学生になれば猫を飼おう、なんて勝手に決めていたりもした。 でも……。 「………」 「お兄ちゃん?」 「え?」 「どうしたの、なんだかボーッとしてたよ」 「いや……」 「イカ玉ちゃんが可愛すぎてガーンってなっちゃった?」 「……何いってんだ。お前じゃあるまいし」 そう言うと、桜は拗ねたように唇をとがらせる。  するとイカ玉は今度は桜のそばに行き、体をくっつけた。 どうやらこの1人と1匹は仲良くやっているようだ。 桜に見えないよう、こっそり笑った。
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