primula【青春のはじまりとかなしみ】

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その後。 結局、桜の家で昼ごはんもいただき、雨がマシになるまで居させてもらうことになった。 世話になりっぱなしで申し訳ないので、桜の勉強でも見ようかと、テスト勉強を一緒にすることにする。 オレは数学の問題集を開く。 一応受験生ということもあり、英語と数学はどこでも勉強できるようワークをカバンに常に入れていた。 桜も数学を開いている。 方程式のページ。 二年前に習ったものが、もうとても懐かしく感じた。 「わからないとこあれば言えよ」 勉強を始める前にそう言うと、桜は素直にうなずいた。 そうして問題を解き始める。 桜は特に悩むようすもなくシャーペンを走らせる。 なんだ。 ちゃんと理解しているじゃないか。 海さんに家庭教師をしてもらっているらしいし、それほど助けはいらないのかもしれない。 オレはとりあえず自分の勉強に集中することにした。 ……が。 しばらくして。 桜のシャーペンは完全に止まった。 特に問題につまずいているというわけではないようだ。 というか、ワークを見てすらいない。 全く違うことを考えているように、ぼんやり虚空を眺めていた。 そのまま数分。 さすがに目に余るので少しきつめに声をかける。 「おい!桜!」
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