primula【青春のはじまりとかなしみ】

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□■□■□■□■ 近所の緑地公園で、確かハロウィーンのイベントがあった。 そこそこの規模のイベントで、その辺に住んでいた子供は大体参加していたように思う。 桜はマントをつけて何やら仮想をしていた。 指には、いつものオモチャの指輪。 仮装した桜はいつもと少し違う雰囲気で。 周りの子供たちから注目されていた。 そして近所に住む男子たちにからかわれ始めた。 それはオレから見れば明らかに好意の裏返し。 好きな子ほどいじめたいというやつだ。 でももちろん桜にそんなことわかるはずなく。 勢いづいてしまった悪ガキたちに指輪を取られ泣き出してしまう。 さすがにやりすぎだろう そう思ったオレはそいつらにやめるように言った。 桜がオレの後ろに隠れるようにくっつく。 それがまずかったのか。 カッとなった悪ガキチームのリーダーが、指輪を放り投げた。 指輪は濁った噴水の水に沈んでしまう。 桜は更に大粒の涙を流しながら、噴水を覗き込んだ。 そのまま飛びこみそうで、見ていられない。 オレは袖をまくると水に手を入れる。 冷たい水と、まとわりつく藻の感覚。 正直気持ち悪い。 オレが手をいれたのを見て、桜も続こうとするが、オレは止めた。 桜の手は小さくて白くて。 それが濁った水で汚れるのが嫌だった。
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