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近所の緑地公園で、確かハロウィーンのイベントがあった。
そこそこの規模のイベントで、その辺に住んでいた子供は大体参加していたように思う。
桜はマントをつけて何やら仮想をしていた。
指には、いつものオモチャの指輪。
仮装した桜はいつもと少し違う雰囲気で。
周りの子供たちから注目されていた。
そして近所に住む男子たちにからかわれ始めた。
それはオレから見れば明らかに好意の裏返し。
好きな子ほどいじめたいというやつだ。
でももちろん桜にそんなことわかるはずなく。
勢いづいてしまった悪ガキたちに指輪を取られ泣き出してしまう。
さすがにやりすぎだろう
そう思ったオレはそいつらにやめるように言った。
桜がオレの後ろに隠れるようにくっつく。
それがまずかったのか。
カッとなった悪ガキチームのリーダーが、指輪を放り投げた。
指輪は濁った噴水の水に沈んでしまう。
桜は更に大粒の涙を流しながら、噴水を覗き込んだ。
そのまま飛びこみそうで、見ていられない。
オレは袖をまくると水に手を入れる。
冷たい水と、まとわりつく藻の感覚。
正直気持ち悪い。
オレが手をいれたのを見て、桜も続こうとするが、オレは止めた。
桜の手は小さくて白くて。
それが濁った水で汚れるのが嫌だった。
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