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……なんで、
今さらこんな昔のことを。
何年も前の記憶へと飛んでいた意識を引き戻し、オレはため息をついた。
時計を見ると、休憩をはじめてから10分が過ぎようとしている。
「……さ、そろそろ勉強再開するか」
そう言うと桜は不満そうに頬を膨らませる。
「えー、もうちょっと休憩しようよー」
「お前、休憩しかしてないだろ。言っとくけど期末欠ったら夏休み補習になるからな」
「……補習は困る。演劇部の練習出れなくなったら、先輩に迷惑かけちゃうもん」
「………っ」
……演劇部。
先輩。
ふと
浅間に言われたことが頭をよぎる。
『二年生に一人、妙に沢渡さんに構う部員がいて……
ちょっといろいろと強引というか……』
浅間はそれほど深刻な顔ではなかったけれど。
それでも何か思うところがあるからオレに言ってきたのだろうし。
ちゃんと桜から話を聞いてやるべきだろうか。
そんなオレの動揺を感じたのか。
桜が少し驚いたように「どうしたの」と聞いてきた。
少し迷ったけど、浅間が心配していたことは、少なくとも今はまだ伝えない方がいいだろうと判断して
オレは何も知らない風を装いながら、演劇部の様子を尋ねる。
すると、桜はアッサリ美作にちょっかいを出されて困っていることを話してきた。
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