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瑞穂と一緒に教室を出て、廊下を歩く。
テストが終わった校内は、心なしか活気が戻ってきたような気がした。
「望は今日は部活?」
「いや、写真部はない。だから生徒会のたまった仕事片付けようかと」
「へえ、大変だな」
「そりゃそっちだろ」
瑞穂はサッカー部のキャプテンだ。
しかもエースストライカー。チームの主力ってやつ。
でもそれを鼻にかけたりしない。
よく出来たヤツだなあと友人ながら思ったりする。
「……瑞穂はどこ受けるか決めたか?」
「え、高校のこと?
ああ、まあね。いくつか決めてるよ。サッカー強いとこがいいから、私立になるかも」
「そうか」
……浅間もそうだったけど。
瑞穂もやりたいことを踏まえて考えている。
もちろんみんながみんなそうじゃないとわかっているし、まだ焦るときじゃないのも知っている。
純粋に成績で志望校を決めるのも悪くない。
でも、時々自分がひどく遅れているように思えるのは、ただ受験に対する焦りからだけなんだろうか。
「望はどうするんだよ。お前なら大体どこでもいけるだろう?」
「別にそんなことねえけど。……まあ、オレもいくつか考えてる」
「ふーん。…あ。もしかして、沢渡さんと一緒のところがよくて考えているとか?」
「は?なんで桜が出てくるんだよ。アイツはまだ一年だぞ」
瑞穂が笑いながら「冗談だよ」と謝るジェスチャーをする。
「いや、でもさ。望、沢渡さんのことどう思ってるのかなー、なんて……」
「………瑞穂」
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