primula【青春のはじまりとかなしみ】

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瑞穂とは階段のところで別れた。 あいつはこれから部室で弁当を食べて、そのまま部活らしい。 本当に熱心だな。 瑞穂なら将来プロも夢じゃないかもしれない。 ……そういえば、桜の父親の陸さんは、中学からサッカーを始めたって言っていた。 そのままプロになって、選手を引退した今でもサッカーに関わる仕事をしている。 瑞穂もいつかそうなったりしてな。 何にしても、いつでも前向きな瑞穂をオレは尊敬している。 ……もちろん本人に面と向かって言ったりはしないけど。 そして、そんな瑞穂はもう桜に対する気持ちに答えを出していた。 「……オレたちの問題か」 桜は子供っぽくて、危なっかしくて、 それなのに昔から男子にはよくモテていて ときどきそれで無自覚にトラブルになっていた。 だから瑞穂が桜を好きだというなら 桜を守ってくれるなら オレも安心できるなんて思った。 でもそれは失礼な考えだったのだろう。 瑞穂にも桜にも。 オレは、自分で答えを出さなければいけないのだ。 桜のことを、どう思っているのか。 「……そういや、桜も今日から部活かな」 テストの最終日に部活動があるかないかは、大体半々というところ。 通常毎日活動するような運動部はあることが多いが、文化部はそのまま休みなことも珍しくない。 でも演劇部は大会が夏休みにあるはずだから、おそらく活動しているだろう。 ……あとで少し様子を見に行ってみるか。
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