幸せを、君の隣で。

いびつな、be with you

｢あー！やっとテスト終わったー！！｣

ひかりちゃんが清々したというようにバンザイをする。
他のクラスメイトも同様。
教室は一気に騒がしく、開放的な雰囲気に満たされた。

一学期末テスト、無事に終了。

とりあえず、結果は今は考えないでおこう。
……たぶん、そこまで酷くはない……はず。
海ちゃんに家庭教師してもらっていたんだし。

｢あーあ、テスト終わったのはうれしいけど、ソッコーで今日から部活だもんなあ……｣

ラケットをさしたカバンを背負い、ひかりちゃんは面倒そうにため息をつく。

｢え、ひかりちゃん、部活いやなの？｣

ひかりちゃんは入学前からテニス部に入ると決めていて、
それからずっと楽しくやっていたように見えていたけれど……。

｢うーん……楽しいんだけど、ときどきちょっと面倒くさい｣

｢面倒くさい？練習が？｣

ひかりちゃんは首を振ると、『先輩関係とか』と小さくつぶやいた。

｢運動部は上下関係厳しいし、しかもソフトテニスは女の子しかいないから結構いろいろキツイっていうかー……まあ、他にもキツイ部はたくさんあるらしいけど……｣

｢……そ、そうなんだ｣

｢まあ、楽しいのは楽しいよ、本当に。基本的にはみんな仲良いし。
……桜は？演劇部、どう？｣

｢う、うん……私も楽しいよ。大丈夫｣

｢そっか。……また今度ゆっくりしゃべろうね。じゃあ、あたし、もう部活行くねー｣

ひかりちゃんは明るく手を振りながら教室を出ていった。