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(……私も早く部活したいな)
テスト休みの間も毎日台本を読んでいた。
たぶんもうほとんど台詞は覚えているはずだ。
浅間先輩は、テストが明けたら活動時間を増やしたいと言っていた。
本番まであと1ヶ月くらい。
おそらく夏休みに入れば、ほぼ毎日部活だろう。
大変なんだけど、ワクワクする。
早く、もっと、部活をやりたいな。
見学のときに見た、先輩たちみたいに出来るようになりたい。
私に出来ることを増やしたい。
………それからしばらく待ったけど、美作先輩は来なかった。
携帯になんの連絡もない。
私から送っても、既読にすらならなかった。
「うーーーん???」
これは……もしかして先輩忘れている?
それかわざとすっぽかされた?……いやいや、そんなことする意味はないだろうし、そんなことする人じゃない……と思いたい。
じゃあ急用が入っちゃったのかな。
何にしてもこのままじゃ部活に遅れちゃうし。
このままここで急ぎでお弁当食べて、演劇部に行こう。
私はカバンからお弁当を取り出した。
──瞬間。
ガラッと扉が開く音。
「美作先輩?」
やっと来た。
と、思ったのに。
「……え」
入ってきたのは、先輩とは違う人だった。
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