いびつな、be with you

5/15
前へ
/259ページ
次へ
「おー、マジで沢渡さんいる」 「ははっ、ホントだ。すげー」 「……え」 入ってきたのは三人の男子生徒。 ネクタイは緑と青。 みんな上級生だ。 私を見て、ひそひそ笑いあっている。 なんだか……嫌な感じだ。 「………っ」 私はお弁当をカバンにしまい、男子生徒から目を逸らした。 美作先輩も来ないし、もう行こう。 うつむきながら出入口に向かう。 「あー、待って!沢渡さん」 「!」 すると、前に立ちふさがるようにして止められてしまう。 上級生の男子三人。 身長差もあり、前に立たれると壁のように感じた。 「沢渡さん行かないで。ちょっと話そうよー」 「え……」 頭の上から響く声。 笑い声が雨のように降り注ぐ。 「…………っ」 そもそもこの人たち、どうしてこんなところに? まるで私がここにいることを知っていたような……。 もしかして 美作先輩が……… そう思い付いたとき 背筋がゾッと寒くなった。 ……こわい。 「……あ、あの、私……」 喉が詰まるような感じがして、うまく声が出せない。 身体もうまく動かせない。 どうしよう。 「……ね、沢渡さん、おれのこと覚えてない?」 三人のうち、青いネクタイを締めた男子がそう言う。 青は三年生のカラー。 覚えてないかと言われても……そうそう三年と知り うことなんて…… いや、待って。この人…… 「……あ」 「覚えててくれた?そー、おれ沢渡さんに告白したんだ。まあ、振られちゃったんだけどさ」 三年生が唇を歪めるように笑った。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加