いびつな、be with you

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「……あ……えーと」 中学に入学してから何度か告白された。 この人の顔も覚えている。 確か栗原先輩。 ひかりちゃんがイケメンだと言っていた。 ……でも私は、告白を断った。 「おれさ、やっぱり沢渡さんが好きなんだ。諦められなくてさー」 「……あ、あの……でも……」 「ね、オトモダチからでもいいからさ。だめ?」 栗原先輩が私を見下ろす。 そばにいる二人の先輩たちが私を囲むように側に寄ってきた。 思わず後退りしてしまう。 「……その……」 「LINE教えてよ、沢渡さん」 「ご、ごめんなさい……」 頭を下げて断ると、栗原先輩の隣にいる二年生が私に詰め寄ってきた。 腕をぐっと掴まれる。 「はー?LINEくらいいいんじゃん?大体、一年のくせに生意気なんじゃねえの?」 「い、痛っ。そ、そんな……」 掴まれた腕がきしんだ音を立てた。 「ああ、市ノ瀬。やめろよ、乱暴したら沢渡さんが可哀想だろ」 「………」 栗原先輩がとめたからか、二年生は手を離した。 でもまだじんじんと痛んでいる。 「沢渡さん、ホントにだめかな?LINEも?」 「……っ……」 ……どうしよう。 相手は三人。しかもみんな男子。 このままじゃ解放してもらえないかもしれない。 とりあえずLINEだけでも教えたら、ここから出してもらえるだろうか……?
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