いびつな、be with you

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「わ、わたし……」 カバンからスマホを取り出す。 手が小さく震えていて、なかなかうまく出来なかった。 そんな私を見て、栗原先輩たちがクスクスと笑っている。 なめ回すように全身を見られているのがわかった。 ……嫌だ。 怖い。 気分が悪い。 この人たちと一緒にいたくない。 これでLINEを教えたら。 そうしたら、こんな時間も終わる……? そのとき手の中で携帯が震えた。 LINEの受信だった。         「……!」 表示されたアイコンには『浅間先輩』の名前。 どんな内容かはわからないけれど、多分部活に来ない私を心配しているのだろう。 浅間先輩。 それに、演劇部の先輩たち。 きっと私を待っている。 私ももう部の一員なんだもん。 ………でも、だからこそ しっかり、しなくちゃ。 ここで流されて連絡先交換なんかしたら。 またズルズルとこんなことになるかもしれない。 怖いけど。 今従うのは、その恐怖に負けたことになる。 それに もし、このことに美作先輩が関わっていたら? その場しのぎでここを切り抜けても、根本的な解決にはきっとならない。 また同じようなことが何度も繰り返される可能性もある。 美作先輩は同じ部にいて、ほぼ毎日会うんだから。 下手をすれば演劇部に迷惑をかけるかもしれない。 それは絶対にいやだ。 負けたくない。
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