いびつな、be with you

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「……ご、ごめんなさい。やっぱり教えられません」 そう言うと、栗原先輩たちは一気に白けた雰囲気になる。 「私、……こういうの困ります。やめてください……!」 「沢渡さん」 栗原先輩が顔を険しくさせた。 整った顔立ちに影が射す。 「…すみません……」 もう一度頭を下げる。 これで許してもらえるかはわからない。 でもこれしか出来なかった。 「沢渡さん……」 「……ごめんなさい……困ります」  「そっか………。 ……あーあ、つまんないやつ!」 「……え?」 栗原先輩は急に態度を変え、私を睨み付けてきた。 そばにある椅子を蹴りあげる。 ガタンッと大きい音がたち、私は思わず身をすくませた。 「栗原先輩……」 「ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねえ。"困ります"とか何様のつもりだよ」 「え、そんな。わ、私……」 「一年の沢渡は、お高く止まっていい気になってるって本当だな。感じ悪い」 「………」 そんな……。 どうしてそこまで言われないといけないの。 じわ…と目に涙が浮かぶ。 恐怖と悔しさで震える私を先輩たちが蔑んだような目で見てきた。 「なー、栗原。じゃあ、この子どうすんの?」 「んー。もう結構どうでもいいんだけど、せっかくだからな……。お前らはどうしたい?」 「えー。この子カタそうだからなー。いつもみたいに遊んだらあとあと面倒そう。トラブルになるのは嫌だぜ」 ひそひそとそんなことを話している。 会話の内容はよくわからないけど、身体に寒気が走った。
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