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『沢渡さん。
お疲れ様。今日は大変だったね。
部長として色々力不足でごめんなさい。
今日の部活の話し合い。
沢渡さんは本当にあれで良かった?
もし不安なことや、我慢してることがあるなら、私に言ってね。
頼りない部長だけど、来月の公演が成功するように。
沢渡さんたち部員が楽しく部活を出来るように。
頑張ります。 浅間』
「浅間先輩………」
先輩からのメッセージ。
私を心配してくれているのがよくわかる。
それにすごく責任を感じているみたいだ。
今回の、栗原先輩とのことは浅間先輩は何も悪くないのに。
浅間先輩の気持ちを思うと、申し訳なくなった。
「『部活の話し合い』……か……」
……あのあと。
保健室で傷の手当てをしたあと、私はお兄ちゃんと一緒に演劇部へ向かった。
美作先輩に対する不信感も恐怖もないといえば嘘になるけど。
そのまま逃げるようなことはしたくなかったから。
部に行くと、浅間先輩と児玉先輩、それに美作先輩がミーティングのように座っていた。
私が来たことに気づくと、すぐに浅間先輩が駆け寄ってきた。
「沢渡さん、大丈夫?児玉くんから大体のことは聞いたよ」
そう言って児玉先輩の方を見る。
児玉先輩はいつもの無表情ではなく、どこか苦しそうな顔をしていた。
そしてその隣に座る美作先輩は、……まるで普段の児玉先輩が乗り移ったかのように無表情だった。
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