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それからお兄ちゃんは部外者だということで外してもらい、私たち演劇部だけで話し合うことになった。
もちろん、こうして巻き込んだ以上、どんな結果になったかは、あとでお兄ちゃんにも話すつもりだ。
四人でぐるりと円を囲むように座る。
はじめに話し出したのは児玉先輩だった。
「沢渡サン、今回のこと……空き教室でどんなことがあったかは、簡単に生徒会長から聞いた。無事で……って言っていいかわからないけど、とりあえず大した怪我がなくて良かった……」
「は、はい。心配かけてすみません……部活の練習もできなくさせてしまって」
「沢渡サンが謝らないで。今回のことは……シュンのせいだから」
「………」
私は恐る恐る美作先輩に視線を移す。
ずっと無表情だった先輩が口を開いた。
「ごめん。沢渡さん、こんなことになるなんて思わなかったんだよ。
栗原先輩とは以前から知り合いで、仲がよくてさ。それで沢渡さんが好きだから協力してほしいって言われて……」
「……え…」
「もう一度告白したいからチャンスを作ってほしいって言われたんだよ。だから沢渡さんを呼び出して、栗原先輩と会わせた。僕は……ただそれだけだと思っていたから、本当に悪気はなかった。ごめんね」
「……シュン!」
児玉先輩が声をあらげる。
こんな児玉先輩、初めて見たかもしれない。
「なに言ってんだ!あの人の遊び癖はおれでも聞いたことがある。会わせたらどうなるか本当にわからなかったのかよ」
「……うん。わからなかった」
「……じゃあ、どうして生徒会長がきたとき、沢渡サンを知らないって言ったんだ。他でもないシュンが呼び出したんだろう?」
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