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「ま、さっきの人はイケメンの栗原先輩だから、断ったのは正直ちょっともったいないと思うけどねー」
「もうひかりちゃんってば。わ、私は好きな人がいるんだからね」
「その好きな人には全然相手にされてないんだけどね」
「………うっ」
ひかりちゃんがにっこり笑う。
「まあまあ、いいじゃん。片思いがんばろう!応援してるからね、わたし」
「ひかりちゃん!」
「だって、桜が早く彼氏作ってくれないと、周りの男子ほとんど桜に惚れちゃうじゃん。邪魔だから早く彼氏作って」
「ひかりちゃん………」
ひかりちゃんは「冗談冗談」と笑いながら、テニスラケットが入ったカバンを背負う。
「じゃ、あたしこれからテニス部だから。じゃあね、桜。また夜LINEしよー」
「うん、バイバイひかりちゃん」
ひかりちゃんを見送って、教室には私ひとり。
……私も帰ろうかな。
そうだ。
ちょっとだけ生徒会室の近くまで行ってみよう。
お兄ちゃん……今日も忙しいかな。
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