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め、珍しいー!!
お兄ちゃんが居眠りしてる。
お兄ちゃんのそばには開かれた英語の問題集。
私を待っている間、勉強していたのだろうか。
「………」
受験生で。生徒会の仕事もあって。部活もしていて。
そして私をこうして気遣ってくれていて。
そりゃあ、疲れるよね。
できるなら、もう少し休んでいてほしいな。
ゆっくり眠っていてほしい。
私はなるべく音を立てないようにお兄ちゃんに近づいた。
黒い髪がさらりと流れて目元にかかっている。
閉じたまぶたの上。眉間にシワが寄っている。
お兄ちゃんってば。
眠っていてもなんだか険しい顔だ。
「……ん」
お兄ちゃんがピクリと動いた。
そしてそのまま勢いよく身体を起こす。
「桜!?
もう来たのか?……つか、オレ寝てた……のか?」
「う、うん。寝てたよ。桜、今来たところ」
「……そっか。悪いな、オレから呼び出したのに」
お兄ちゃんは目に手をあて、小さくうめいた。
「……痛ぅ……あー、しまった。コンタクトしたまま寝ちまった。悪い、桜。もうちょっと待ってて」
目薬を取り出し、それを目にさすお兄ちゃん。
起きてすぐだというのに何だかすごく意識がハッキリしてるし、キビキビ動いている。
寝起きはいつもぼーっとしている私からすれば信じられない。
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