どうなる、summer vacation

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正直、模試について詳しくわかっていないけど。 多分あれだよね。 受験に備えたテストだよね。志望校合格の可能性がざっくりわかる……みたいな。 じゃあ、ダメだ。勝手に見ちゃダメ。 プライバシーだもん。 私だってテストの結果、勝手に見られたら嫌だし。 よし、これは見ずにちゃんと仕舞っておこう。 英語のワークに戻して…… 「……桜?」 「きゃあ!」 お兄ちゃん。もう戻ってきたの。 入り口のところにいるお兄ちゃんは怪訝な顔をしている。 わあああ、怒ってるかも。 模試の結果、見ようとしていると思われたのかな。 「桜……いるのか?」 「………え、い、いるよ」 「………見えねえ」 「…………」 ………これは。 怪訝な顔……というより、目をこらしているだけだ。 多分、コンタクト外したからよく見えていないんだ。 お兄ちゃんは机などの位置を確認するように手で触れながらゆっくり戻ってきた。 そしてカバンから眼鏡を取り出してそれをかけ、ようやく落ち着いたようだった。 眼鏡のレンズ越しに私を見る。 「待たせてばっかで悪かったな。……じゃあ帰るか」 「う、うん。大丈夫だよ」 「……桜。それ、どうしたんだ」 「え!」 お兄ちゃんが示すのは、私の手元。 そこにはまだ模試の結果が握られていた。 ぎゃあ!戻しそびれていた。
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