どうなる、summer vacation

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「へ?」 「オレも日曜は夏期講習ないからな。どこか行きたいとこあるか?」 「え、あ……ど、どこだろう……」 「まあ、また後々ゆっくり決めるか」 「う、うん……」 ……え。予想外。 こんなアッサリ進むなんて。 というか、アッサリしすぎていて、お兄ちゃんデートだと思ってないんじゃないかなんて思っちゃうよ。 子供の頃、一緒に遊んでいたノリなんじゃないの?……なんて。 「……あの、お兄ちゃん」 「ん?」 「それって、デ、デート……だよね」 「……」 お兄ちゃんはカチャと眼鏡をあげて、私の顔を見た。 「……他にないだろ。 オレたち付き合ってんだから」 お兄ちゃんの顔が少し赤くなっている。 それを見ると、私の顔もどんどん熱くなっていった。 そうだ。 他にない。何もない。 私たち、付き合っているんだ。 もう幼なじみじゃないんだ。 「う、うん……!ありがとう、お兄ちゃん」 心が震える。 そわそわして、こそばゆくて、落ち着かない。 でも、嬉しい。顔が自然とほころんでくる。 ニヤニヤしちゃうのを我慢できないよ。 好きな人と恋人同士になるのって、こんなに幸せなものなんだ。 「……あと桜。お前それ、そろそろマジでやめてくれ」 「え?」 「"お兄ちゃん"って呼ぶの。オレたち兄妹じゃねえし。もうおかしいだろ」 「で、でも…それじゃあ何て呼べば……」 「普通に名前で呼べよ。まあ、学校では先輩の方がいいけど」
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