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「それにしても桜、結構遅いんだな。演劇部っていつもこんな長いのか?」
お父さんも加わって、三人で並んで帰る。
なんだかこの並びは珍しいような気がする。
「うーん。今は大会前だから特に長いかも。あと1ヶ月もないもん」
「そうか、大会あるんだったな。本番楽しみにしてるよ。
……望くんも部活?」
「いえ。オレは生徒会の仕事があって」
「へー。こんな遅くまでなんて偉いなあ。でも望くん、受験勉強もあるのに大変じゃないか?」
「大丈夫です。9月で後期役員に引き継ぎなんで」
「そっか。じゃああと少しだな。
……でも、こうして望くんが桜と一緒に帰ってくれてると安心だよ。今はこの時間でも明るいけど、なんだかんだ心配だもんな」
「そうですね……。でも、オレが帰れるときは一緒に帰ってきますから」
「ありがとう。
あ!でも無理に桜に合わせなくていいから。望くんにも桜にも、それぞれの付き合いがあるだろうし」
「……はい。わかってます」
なんだか和やかにしゃべっている二人。
……そういえば。
お兄ちゃんと付き合い出したこと、お父さんたちに言うべきなんだろうか。
というか、普通は彼氏ができたら親に言うの?
わざわざ話すのはおかしいかな。
でも、私たちは幼なじみで、お互いの家族も知り合いで。
それなら一応言っておいた方がいい?
「うーーん……」
「桜?家ついたぞ」
「え!」
呼び掛けられて、ハッと我に返る。
確かにもう私の家の前に着いていた。
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