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というわけで。
リビングでアルバムを開きながら、海ちゃんと一緒に両親の結婚写真を堪能する。
「桜ちゃんが写真見たいって言うの久しぶりだね。なんだか恥ずかしいなあ」
と、お母さんが照れ臭そうに笑って、ソファーに座っている。
イカ玉ちゃんはそのお膝の上でウトウト居眠りだ。
「……晴香お姉ちゃんのドレス姿、きれい。
そうだった……この、Aラインのドレスだったね……」
海ちゃんが写真を見ながら、ため息混じりにつぶやく。
視線の先には、裾がひろがったウェディングドレスを着たお母さんの写真。
白いタキシードのお父さんに寄り添うように立ち、幸せそうな笑顔を浮かべている。
……当たり前だけど、二人とも若い。
可愛くすら見える。
「ふふ。私、背が低めだからそれにしたんだ。海ちゃんならスレンダーなシルエットも似合うんじゃないかな」
「そう……だね……」
ぱら。ぱら。ぱらり。
ゆっくりアルバムをめくっていく。
白と、花と、笑顔と、輝きと。
結婚写真はどこを見ても、幸せに満ちている。
「……あ。海ちゃん!」
家族一同の記念写真。
お父さんとお母さんを中央に、二人の家族が写っている。
お母さんのそばには、おじいちゃんとおばあちゃん。
お父さんの側には、おじいちゃん。そして、空ちゃんと海ちゃん。
海ちゃんは髪の毛を結い上げ、上品な色のワンピースを着ている。
このとき確か中学生のはず。
少し緊張したようにじっとカメラの方を見ている海ちゃんは少し幼くて、だけどとても綺麗だった。
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