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海ちゃんが一瞬固まる。
口許に手を当てて、悩むように目を伏せた。頬がほんのり赤く染まっている。
「……デート、の場所……そ、そうだね。
映画とか、美術館とか、博物館とか……」
「わ、わあ……」
さすが海ちゃん。なんだかインテリな行き先だ。
「……とりあえずお互いの好きなところに行くよ。彼は絵を見るのが好きだから……」
「そっか……」
「……桜ちゃんも、考えすぎないで好きな場所に行けばいいんじゃないかな?桜ちゃんが、彼と行きたい場所に行けばいいと思うよ」
「……海ちゃん」
海ちゃんの優しい笑顔。
それが私の心にポッとぬくもりをともす。
そして、望ちゃんの笑った顔を思い出した。
そうだ……
「よし!決めた!」
私が望ちゃんと行きたい場所。
デートでしたいこと。
それがわかった気がした。
私はLINEの画面を開いて
『行きたいとこあるよ!明日はわたしにまかせて!』
と、返事した。
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