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あなたと、sweet time
翌日。土曜日。
望ちゃんとのデートの日。
「海ちゃん、この服おかしくないかな?」
「……大丈夫。かわいいよ、桜ちゃん。髪型もよく似合ってる」
金曜はいつもうちにお泊まりする海ちゃんは、今日は朝から私にお付き合いしてくれている。
鏡の前で服を着替えて、髪型を決めて、ちょっとだけ色のついたリップを塗ってみたりして。
海ちゃんからのアドバイスを受けながら身だしなみを整えていく。
「……ところで桜ちゃん、時間は大丈夫?」
「あ、もうすぐだ!望ちゃんが迎えに来ちゃう」
約束は11時。あと10分もない。
望ちゃんは時間にまじめで正確だから、遅れたりすることはないはずだ。
「……迎えに来てくれるんだね。待ち合わせとかじゃなくて」
「うん、おうち近いから!」
「……ふふ。幼なじみって感じだね」
「そう…なのかなあ」
そういえば、デートではやっぱり待ち合わせが普通なのかな。
お互いの家を行き来するのが当たり前でピンと来てなかった。
「でも、今はお付き合いしてるんだもんね。……おめでとう、桜ちゃん」
「うん……ありがとう!」
そううなずいたとき、インターホンの音が聞こえた。
少し間が空いて、お母さんが私を呼ぶ。
「……来たみたいだね。いってらっしゃい、桜ちゃん」
「うん!ありがとう、海ちゃん。
明日のウェディングドレス、楽しみにしてるね!」
「……うん、ありがとう桜ちゃん。
今日、素敵な一日になるといいね……」
海ちゃんの微笑みに見送られ、私は部屋を出た。
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