84人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
バスに乗ること約20分。目的地に到着した。
土曜日ということもあり、なかなか人が多い。
ほとんどが家族連れ。小さい子供が走り回っている。
「えへへ、久しぶりだなー。小学生の写生大会以来かも」
「……どこ行くのかと思えば」
望ちゃんが目的地の前でつぶやく。
少し驚いているみたいだ。
「望ちゃんも久しぶりでしょ?……動物園!」
じゃーん、と入場門を手で示した。
そこには「みどり動物園」とかかれた大きい看板。
すぐそばに置かれたパンダの像が、私たちをじっと 見つめている。
(ちなみにこの動物園にパンダはいない)
「まあ、久しぶりだけど……」
「入ろ、入ろう!望ちゃんは何の動物が見たい?」
「あ、桜……!だから走って転けんなよ……っ」
望ちゃんが駆け出す私のあとをついてくる。
私たちはそのまま入場ゲートをくぐり、園内に入った。
みどり動物園は一番近い動物園。
それなりに大きく、珍しい動物もいると評判だ。
この街の子供なら幼稚園や小学校の遠足で一度は訪れたことがある、と言われるくらいだった。
もちろん私も何度か来たことがある。
望ちゃんの家族とうちの家族で……なんて幼少期のおきまりコースでもあるし、他にも海ちゃんや空ちゃんが一緒のときもあったはずだ。
そして動物好きな望ちゃんは、たぶん私よりも何度もたくさん来ていただろう。
そんな場所だ。
最初のコメントを投稿しよう!