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(……わ。おにぎりがすっぽり手におさまってる)
なんというか。
今さらだけど望ちゃんの手って大きいんだなあ。
望ちゃんはそのまま二口くらいでおにぎりを食べてしまった。
「わ、わ、わー!すごい!」
「なに、桜。あんま見んなよ」
「だって、あっという間に食べちゃうからすごいなって」
望ちゃんってどちらかといえば細いし、あまりたくさん食べるイメージはないけど。
こうして見ると、やっぱり私とは全然違う。
男の子の食べ方だ。
「なんだそりゃ。もう一個もらうな」
「うん!たくさん食べて。美味しい?」
「ああ、美味いよ。…たくさん作ってくれてありがとう」
「………」
「お前も食べろよ。腹へってるだろ」
「あ、う、うん!いただきまーす」
私もおにぎりを口に運ぶ。
……だけど、うまく飲み込めない気がした。
お腹は空いているのだけれど。
胸が、いっぱいだ。
「……でも、こんなに朝から作るの大変じゃなかったか。今日出掛けるのも急に決めたのに」
望ちゃんが三個目を平らげてそう言った。
「大丈夫だよ。おにぎりしか作ってないし、それに…実は海ちゃんに手伝ってもらったし」
「え、海さん?」
「うん。あのね、海ちゃん金曜は桜のうちにお泊まりしてるの。なんと、ときどき桜のお布団で一緒に寝るんだから」
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