あなたと、sweet time

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「……そろそろ行くか」 「うん」 立ち上がって歩き出す。 「えへへ、ちょっと涼しくなったね」 「ああ。……いや、でもやっぱ暑い」 望ちゃんの言葉通り、少し歩くとまた汗がにじんでくる。 「……うん、そだね。動物もみんな暑そうだし」 暑さか、もともと夜行性なのか。 べったりと横たわる動物たちの檻のそばを通る。 「まあ、これはこれで今の季節の貴重な姿かもな」 望ちゃんはときどき立ち止まり動物たちを写真におさめていく。 たくさん撮っているけど、写真部の展覧会ってどんな感じなんだろう。 「望ちゃん、写真部の展覧会っていつ?私も見に行っていい?」 「ああ、誰でも入れるから。日程は8月だけど……また案内渡す」 「ありがとう」 考えてみたら望ちゃんの撮った写真をちゃんと見たことなかったかもしれない。 去年まで私は小学生だったから、望ちゃんの部活についてもあまりピンときてなかった。 そういえば、望ちゃんってどうして写真部に入ったのかな。 「……ね、望ちゃんってなんで部活写真部にしたの?」 「……別に、何となく。運動部は上下関係とか面倒そうだったし。毎日活動あるような部活はダルいと思ったから」 「でも望ちゃん運動得意なのに、ちょっと勿体ないね。お父さんも、望ちゃんサッカーのセンスあるってよく言ってたよ」
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