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「え、将来?……んー……待って、待ってね。考えるから」
「いや、…何となくその反応でわかった。もういい」
「ちょっと待ってってばー。桜あるもん、将来の夢」
少し目を閉じ、いろいろと空想してみる。
小さい頃からの夢。憧れたこと。
「やっぱり小さい頃はお嫁さんに憧れたしー。あと、ケーキ屋さんとか、お花屋さんとかー。でも、お母さんみたいに図書館で働くのも素敵だなあと思ったし。……まあ、桜は漫画しか読まないけど……」
お母さんは私が産まれるまで司書として図書館で働いていた。
今でも本が好きみたいで、よく読んでいる。
私は多分お母さんみたいに本好きではないけど、好きなものに関わる仕事が出来るのはいいなあと思っている。
「あ、好きなものに関わるならお寿司屋さんもいいなあ。お寿司たくさん食べたいし。それに、演劇部楽しいからそういうのもいいよねー」
「……予想通りだった。やっぱもういい」
「ああー、望ちゃん馬鹿にしてるでしょ!?いいじゃない、子供っぽい夢でも。憧れるのは自由だもん」
「……」
望ちゃんが少しハッとしたように目を見開く。
「望ちゃん?」
「……そう、だな。お前の言う通りかもな」
「でしょう?
……ていうか、望ちゃんは?」
「え?」
「望ちゃんは将来の夢ってなに?」
そういえば、最近そんな話を全くしていなかった気がする。
昔は話したことがあったはずだけど。
望ちゃん、そのとき何て言ってたかな。
確か………
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