あなたと、sweet time

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「……特にねえよ。 まあ、アレだな。やっぱ安定していて、その上稼ぎのいい仕事がいいよな」 「えー、なんか夢がないよー」 「なに言ってんだよ。安定して高収入なんて一番夢のような話だろ」 「そういう問題じゃないよ~」 望ちゃん、言うことがなんか枯れている。 というか。 ……これはまた誤魔化されたのかもしれない。 自分から話題振っておいて真面目に話してくれないなんて、ちょっとひどくないか。 それとも、望ちゃんもまだ自分の答えがハッキリわかっていないのだろうか。 「……あ、桜。あっち行こうぜ。ふれあい動物園」 「う、うん。……行く。動物抱っこ出来るんだよね」 「そう。あと山羊とかもいる」 「へー。山羊は重そうだなあ。うまく抱っこできるかな」 「……………」 「なに?なんで笑うの、望ちゃん」 「いや、……あほだなあと思って」 「もう!」 ……でも、今日はいいか。 望ちゃんが言いたくないなら、無理に聞かないでいい。 まだ答えがわかっていないなら急かさないでいい。 だって今日はデートだもん。 楽しい日にしようと決めていたのだから。
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