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動物園を出ると、望ちゃんはバス停とは反対方向に歩き出した。
「こっち」
「あ、うん…」
どこに行くんだろう。
この辺りは普段はあまり来ないからよくわからない。
確かバス停と逆に進むと、駅に着く。
電車に乗るのかな。
それか……もう少し進むと臨海エリア。
ショッピングセンターや、幼児向けのミュージアム、海浜公園なんかがある。
「の、望ちゃん、どこ行くの?」
「臨海エリアの方だけど、疲れたか?」
私の問いかけを疲労のサインだと思ったのか、望ちゃんが気遣うように聞いていた。
私は首を横にふる。
「だ、大丈夫!臨海エリア近いし」
でも、そうか。臨海エリアか……
じゃあ、どこが目的だろう。
ショッピングセンターはないよね。そんなにお小遣いないし。
「あ、もしかして……アンパンくんミュージアム!?」
「……行きたいのか?」
「え、ううん、そんなに……。でも望ちゃん、すぐ桜のこと子供扱いするから」
「はあ……。だからって行きたくねえとこ行っても仕方ないだろ」
望ちゃんが前方に目をやる。
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