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「……そんな顔すんなよ」
「え?」
私の困った様子が伝わったのか、望ちゃんが困ったように笑った。
「……悪い。お前のこと責めてるんじゃねえんだ。怒ってるわけでもねえ。
……ただ……」
「……ただ?」
「ずっと……考えていた。付き合おうって言ったときから、オレは結局桜のことどう思っているんだろうって」
望ちゃんはそう言うと再び観覧車の外に目を向けた。
そこにある答えを探すかのようだった。
「あの日から……いや、その少し前から、桜が少しずつ変わっていく気がしていた。ずっとうるさい妹みたいなものだと思っていたのに。ガキでワガママで、手がかかってウザいと思っていたのに」
「………」
いつもながら言いたい放題だ。
「でも、気づいたらお前はなにか変わっていて…ガキのくせに、ときどき見たことないような顔をすることがあって……それで……オレは……」
そこまで話すと、望ちゃんは大きく息を吐き、髪をかきあげた。
「……望ちゃん?」
「桜……お前、オレのこと……」
「私は、好きだよ」
反射的に、私はハッキリ答える。
「の、望ちゃんのこと好きだよ。桜、望ちゃんみたいにいつからとか、そういう難しいけとわからないけど……望ちゃんのこと、好き。
昔から意地悪で口が悪いけど………そんな望ちゃんが好き。
だからね、桜、今日は楽しいよ。望ちゃんと一緒だから……すごく楽しいんだよ」
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