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「特…別……」
その言葉に胸がキュッとせまくなる感覚。
「変わってしまうのが怖かったのは……結局、お前がいなくなるのが……こわかった……から、なんだろうな」
「……さ、桜、いなくなったりしないよ!大丈夫!」
思わずそう言うと、望ちゃんは可笑しそうにクスッと息を吐く。
「ああ……そうだな………。
……………」
「望ちゃん?」
急に黙った望ちゃんの顔を覗きこむ。
すると、望ちゃんは私へと手を伸ばした。
さっきみたいに帽子に触るのだろうか?
そう思っていたら、望ちゃんの手は頭ではなく私の顔のそばに近づいてきた。
そして、そのまま……
掌が頬に触れる。
「……あ、え、望ちゃ……」
「なら、これからも一緒にいようぜ。……そばにいてくれ、桜」
ふにっ、と優しく頬をつままれる。
ちっとも痛くない、こそばゆい感触。
望ちゃんは今までで一番というくらい、優しい顔で微笑んだ。
「……やっと答えが出た気がする。妹とか幼なじみとか、そんなことに縛られることなかったんだよな。
オレは……今のお前と……桜と一緒にいたい。
いいか?」
「望ちゃん……。う、うん、……うん!もちろんだよ!」
私は何度もうなずく。
頬に触れている望ちゃんの手に、自分の手を重ねた。
望ちゃんは、小さくうなずくとゆっくりと顔を近づけてきた。
(……え!え、これって……)
もしかして……キスされる!?
反射的にギュッと目をつぶった。
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