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どうしようかな。
絆創膏だけサッともらって帰れないかな。
そうだとしても委員の人に話しかけなきゃダメか。
悩みながらウロウロキョロキョロしていると、本部テントの方へ向かう姿を見つけた。
さっき私を無視した幼なじみ。
無視された不満と少しの悪戯心がふくらみ、その背中をトンと押して声をかけた。
「おにい、……高橋先輩!」
「っ!……あ、桜……か……」
お兄ちゃんは私に気づくと、少し気まずそうに目をそらす。
そして小さくため息をついた。
ん……?
さっきといい、お兄ちゃん何か変じゃない?
私にそっけないのも失礼なのもいつものことなんだけど、これはそういうのとは違うというか。
もしかして……本格的に怒っているのだろうか。
「お兄ちゃん、どうかした?なんか変だよ」
「別に。何も…」
「えー、絶対変だよ。いつもなら『365日変なお前に言われたくねえ』くらい言うのにー」
「……言わねえよ」
お兄ちゃんは額を押さえるようにして、はぁーと深い息をはいた。
「あー、馬鹿らしい」
「え?」
「何でもねえよ。……それよりお前、こんなとこで何してんの」
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