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｢えーと、…ひじを擦りむいちゃって絆創膏をもらおうかと｣
私がケガをしたひじを見せると、お兄ちゃんはちょっとだけ驚いた顔をした。
｢……ああ。クラブ対抗リレーのときだろ。お前、転けてたもんな｣
｢うぅ｣
｢まあ、でもよくやってたんじゃねえの｣
｢え……｣
お兄ちゃんは体操ジャージのポケットから絆創膏を取り出した。
｢ほら。これでいいか？｣
｢わ！ありがとう。すごい、お兄ちゃん用意いいね！｣
｢別に。実行委員はみんな持ち歩いてんだよ。トラブルのときに対応出来るように｣
｢そうだったんだー｣
なんだとしても、…嬉しい。
お兄ちゃんが渡してくれた。
それだけで特別に嬉しい。
私ってなんて単純なんだろう。
渡してくれた絆創膏を大切に手の中で見つめる。
お兄ちゃんがそんな私を憮然とした顔で見ていた。
｢……早く貼れば？｣
｢あ、そ、そうなんだけどっ……ほら、ひじだし、ちょっと貼りにくいというか｣
｢お前なあ……。……貸せよ、貼ってやるから｣
｢えっ！｣
｢……ほら。ひじ出せ｣
｢あ……うん……｣
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