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Nice to meet you,イカ玉
それは、体育祭から一週間後の金曜日。
一本の電話から始まった。
「あ、ナツメちゃん!どうしたのー?」
お母さんの携帯にかかってきた電話。
ナツメちゃん……お母さんの友達からだ。
学生時代からの親友らしく、こうしてよく頻繁に電話で話している。
私はリビングで海ちゃんに家庭教師をしてもらいながら、楽しそうなお母さんの声を何とはなしに聞いていた。
「……待って。……ナツメちゃん、もしかして泣いてる?……え、違う?くしゃみ?……それで……相談?…………え、………ええ?……うーん……」
何だか雲行きが変わってきたような。
真剣な話なのかな。
連立方程式を解かないといけないのだけど、気になってついつい聞き耳をたててしまう。
「うーん……そっかあ……ツバメちゃんが……。うーん、無理ではないんだけど、……陸くんにも聞いてみないと、桜にも……うん………」
わ。
お父さんと私も出てきた。
一体なんなんだろう。
「……桜ちゃん、手が止まってるよ」
「あ、ごめん、海ちゃん」
「あとはこの問題が終わればおしまいだから。……最後まで頑張ろう」
「う、うん」
なんとか集中を取り戻し、問題を解いていく。
そしてすべての問題に丸がつき、無事にノルマを終えたと同時にお母さんの電話も終わった。
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