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恋する、cherryblossom
「ご、ごめんなさい……!さく、…じゃなくて、私、その……他に好きな人がいます……!」
「さ、沢渡さん……っ、でも、おれ……」
「本当に本当にごめんなさい!それじゃあ、私はこれで……!」
「あ、待って!沢渡さん!沢渡さんー!」
ペコッと頭を下げてから、私はその場から走り出す。
心臓がバクバクうるさく音を立てている。
中学に入学してから3ヶ月。
男の子に告白されるのはこれで六度目。
やっぱりこういうのはとても苦手だ。
告白してくれた人には申し訳ないけれど、どっと疲れてしまった。
呼び出された渡り廊下から、ふらふらと教室に戻る。
そこでは親友のひかりちゃんが待ってくれていた。
「桜ー、大丈夫?」
「あ、ひかりちゃん」
「ちゃんと断った?」
「断った……と思う」
「お疲れさまー。モテる女はつらいねー」
ひかりちゃんはそう言うと私の背中をポンポンと叩く。
なんだかホッとする。
小学校からの親友のひかりちゃん。
一時期絶交状態になったこともあるけど、今はもうすっかり元の仲良しだ。
それどころか仲が深まった気がする。
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