4、近づいていく距離

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 不思議に思ったが、私も紅茶のカップを置いて彼の話の続きを聞いた。 「彼はあなたとは初対面なのに、少し馴れ馴れしいのではないかと思ったのですが、そんなことはありませんでしたか?」  馴れ馴れしいというよりは、誰にでも明るいから話しやすい人だとは思ったけれど。 「性格がそうなんでしょうね。悪い気はしませんでしたよ」  さらりと返すと、白川さんの口調がやや強くなった。 「いや、まあそうなんですが」  彼は私から目を逸らし、目を細めて宙に視線を走らせた。  何か気に障ることでもあったのだろうか。 「……白川さん?」 「名前……」 「え?」  白川さんが目線だけ私に向けた。 「喜多さんのことを名前呼びしていましたね」 「歳が近いので、自然にそうなったんでしょうね」  当たり前のことを返したつもりだが、白川さんは急に曇った表情をした。  え、何……? 今までにないくらい、彼の表情と言葉に余裕が感じられない。一体どうしたというのだろう。 「白川さん?」 「理久くんは悪い子ではないんです。ただ、自分を強く主張する傾向があるというか、恵美子さんとは別の意味で我が強くて……」  白川さんの台詞(セリフ)とは思えない。  仲、いいんだよね……?  それを疑っていると、彼が続きを話した。 「積極的なのはいいことですが、初対面なのだからもう少し遠慮ってものをですね……」  白川さんは眉根を寄せて私から視線をずらす。  少し焦りを感じて私は慌てて返した。 「大丈夫ですよ。私は気にしませんので」 「僕が気にするんですよ」  白川さんは急に視線を私に戻し、目を細めた。
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