不穏

11/13

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
 モリスと共に行ったヨットの葬式の時、久しぶりにアドルフと会話をした。アドルフは騎士団全員の葬式に参列していたが、新国王という立場故に、葬式を終えてすぐに王城に戻り、政治などあらゆる仕事をしなければならなかった。  3人でテーブルを囲んで茶を飲んでいた。ほんの一時の、安らぎの時間だった。  ──ルドルフはこの5ヶ月間で、わかったことがある。それは『たとえ"英雄"という大層な存在であったとしても、結局は"人間"である』ということだ。  ルドルフは心のどこかで、騎士団の皆は死なないと思っていた。強く、勇ましく、人々のために魔物と立ち向かう彼らが、死ぬわけがないと、勝手に思っていた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加