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~永野凛斗~
「W大学か…」
かなり優秀な頭脳をお持ちらしい、永野凛斗と言う名の、面接者。
バイトは未経験らしく、これが初めての面接になるであろう。
もうすぐ、始まる時刻の10分前。
そろそろ来てもいい頃だ。
「こんにちは。」
心地よく耳を揺らしたテノール声に、顔を上げる。身長は、171、2センチ程度だろうか。スラリとしていて足も長く、細身のジーンズが、どこかのベストジーなんとか賞に選ばれた人たちよりも、よっぽど似合っていた。
「面接に来た永野凛斗です。よろしくお願いします。」
俺と目が合って、ふわりと口角を上げ微笑む目の前の彼。その仕草に、顔に熱が集中するのがわかった。
「あ、あぁ、じゃじゃあ面接を始めようかっ、」
思わず声が裏返りどもってしまったが、彼は気にした様子もなく、用意された椅子に腰を下ろした。ただそれだけのことなのに、どこか優美で洗練された動作に見えてしまう。ぼー、と目の前の彼を眺めていると、どうしました?とでも言うように、少し首を傾げられた。
それだけでどうしてか、どこかのナイスバディのホステス並みの、いやもしかしたらそれを凌駕するほどの色気を感じてしまう。
「えっと、永野さんは英語と数学が得意なんだよね?」
「はい。国語は少し苦手ですが、一応高校生の範囲なら全教科教えられると思います。」
目の前にいるのは紛れもなく俺と同じ男で。
女顔ではあるが、女性には見えない。
けど、かっこいいと言うよりも、綺麗や美しいと言った言葉の方が似合う。
そこらの芸能人なんか軽く凌駕するほどの美形だ。さらさらと癖のない茶色がかった髪は、色白の肌によく似合っていて。少し猫目ぎみの二重なその瞳には、贅沢に長い睫毛が伏せられている。
「じゃあ、永野さんには高校2年の今田卓海君を担当してもらおうかな。」
「はい、わかりました。頑張ります。」
頷き微笑んだその彼は、一枚の絵画のようにやはり綺麗だった。
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