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「優香ちゃん。変わるよ。」
そう言った瞬間優香ちゃんの肩が跳び跳ねた。
何か怪しいと思い、そちらの方を覗き込む…
すると、その手にはきゅうり。
そう。優香ちゃんは両手にきゅうりを持つ形で固まっていた。
「え、きゅうり?」
そう私が言った途端、彼女の顔が赤く染まった。
「ち、違いますっ!!」
そう言って優香ちゃんはきゅうりを持ったまま外へ飛び出して行った。
「きゅうりじゃなくてズッキーニだったのかなぁ」
私はそんな事を呟き、お弁当を渡す作業に入った。
ーーーーーーーーー
「って事があったんですよ」
アカネさんのバーで相談しようと頼まれた牛肉弁当を片手にそちらに向かうと大きな声が聞こえて来た。
「うるせーぞ!!アキアカネッ!」
「うる……っちで…」
怒鳴っている方とは逆の声に聞き覚えがあった気がして耳を澄ませるが、頭の中で何故かアキアカネばかりが耳に残って思い出せない。
「まぁ、いいか。」
そう思ってバーに行ったはいいものの今日は定休日だった。
「牛肉弁当どうしよう…」
一応バーのドアにお弁当の入った袋をかけた事をメールで伝え、家についた。
すっかり遅くなっちゃったなぁ。
黒く塗られた木の門をガラガラと開ける。
「お帰りなさいお嬢!」
「ただいまー」
今日の夕ご飯は何だろう。
台所に置かれた野菜達から推測するに、今日はカレーかな。
そんな事を考えていた。
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