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――梅田はダンジョン。新宿地下なんか目じゃない。その証拠にあそこにはセーブポイントもある。
そんな話を笑って聞いていた昔の俺の肩を掴んで「おまえマジで聞いとけよ」と真顔で言いたい。
新大阪で新幹線を降りてJRの大阪駅に着き、「乗り換えのついでに地下街でご飯食べようかなー」なんて甘いことを思っていた俺は日本屈指のダンジョンと知らずに梅田の地下街に入り込んでしまった。
ひとつ、言い訳をさせてもらうなら、今日は雨だったんだ。
新宿辺りは地下がかなり繋がっていて、駅数個分くらい余裕で地上を歩かずに移動することができる。それと同じ感覚でいた。――即ち「雨が降ってるなら地下を歩けば良いじゃない」と。
結論から言うと甘かった。新宿ダンジョンはほぼ一本道なのに対して、梅田は比較にならないくらい複雑だった。しかも多階層だ。
最初は気楽に歩いていた俺も、自分がどこにいるかわからないという事態に陥って冷たい汗が背中を流れていった。手遅れになってようやく、梅田ダンジョンの恐ろしさを思い知ったのだ。
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